人事担当役員メッセージ

「Be the Change」プロジェクトの進捗:組織体質変革の取り組み

変化、挑戦を止めない

写真:執行役員 人事総務本部長 井川 潔

執行役員人事総務本部長井川 潔

なぜ、「Be the Change」プロジェクトに取り組んだのか

住友ゴムグループでは、部門の枠組みを超えて課題を解消し、組織体質強化と利益基盤強化を図る全社プロジェクト「Be the Change」プロジェクト(BTC)に取り組んでいます。BTCは、マハトマ・ガンジーの言葉「You must be the change you want to see in the world./世界に変化を望むなら、自らその変化となれ」から取ったものです。社員一人ひとりが会社の変革を自分事としてとらえ、変革を進めてほしいという想いから名付けられました。

BTCは、社長の山本が2019年3月に就任して以来、国内拠点に赴き対話をするなかで、「拠点ごとの活気にバラつきがある」と感じたことがきっかけです。そこで、山本はグローバルの全拠点を対象に組織健康度指標(Organizational Health Index)の定量診断に取りかかりました。

その結果、海外拠点のスコアが相対的に高い一方で、国内拠点では全般的に課題が多いということが分かりました。この結果を受け、BTCを立ち上げたのが2020年1月です。

まず、組織体質に課題がある箇所と原因を探り出すため、各部門からBTCに参画してもらうメンバーを選出しました。私を含む人事部門のメンバーとチームを組み、スコアに課題がある箇所の深掘りや原因追及について、調査のフリーコメントなどの材料をもとに、約3カ月をかけて分析し、課題の抽出を行いました。 その結果、次の4つの課題について全社で取り組むこととしました。「挑戦しづらい環境」「コミュニケーションの壁」「古いリーダーシップスタイル」「戦略の浸透不足による低い生産性」です。2020年7月、山本はこの結果を全社につまびらかにし、全社としてこの課題の解決に取り組んでいくことを宣言しました。

BTCをどのように浸透させていったのか

まず、社員の皆さんに私たちが直面している課題について危機感を持っていただき、自分事として捉えてもらわなければ次のアクションにつながりません。組織健康度の低さが直接的に企業としてのパフォーマンスに影響するということが共通認識として浸透するように取り組んでいきました。

当初は、プロジェクトの説明や意識変革の研修などを各拠点に赴いて行う予定でした。実際に各拠点で開催するとなれば、場所の確保や講師の手配から運営事務周りまで膨大な人員や手間が必要です。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大が進んだ結果、事態は一変しました。

計画を始めていた対面での研修会の実施はことごとく計画の見直しを余儀なくされました。しかし、この事態を前向きにとらえて、オンラインセミナーでの開催を検討しました。これを検討したことにより、対面に比べて非常に大規模で行うことができ、会場の手配や準備などの工程も大幅に簡略化できました。また、グループ討議なども効率的に実施でき、従来以上に効率的かつ効果的な運営ができたと振り返っています。

これは変革の研修会だけではなく、その後の「Our Philosophy」浸透などにも応用できており、社員のエンゲージメントを高めることができています。今振り返ると、コロナ禍でなければ、BTCはここまで一挙に加速しなかったかもしれません。

組織体質変革のための最初の施策は、制度や組織といった抜本的な改革に先駆けて、社員の変革への機運醸成のために「さん付け活動」「1on1ミーティング」「チームビルディング」などのカジュアルで、参加しやすいテーマを選びました。

当初は、この活動が組織体質改善にどう関わっているのかという懐疑的な反応もありましたが、実際にやり出すと、「職場の雰囲気がやわらいだ」「チームでお互いのことを共有し合うことで心理的なハードルが下がった」「キャリアビジョンをざっくばらんに話せるようになった」といった声が上がりはじめました。このようないい空気を加速させようと、社内報や社内イントラネットにも積極的に取り上げ、活動を浸透させていきました。

一人ひとりのリーダーシップの向上については、360度フィードバックの仕組みを、社長を含めた役員から部長、課長を対象に実施し、自身のリーダーシップスタイルを客観的に把握できるようにしました。また、執行役員以上の役員には社長も含めて外部の専門家を招きエグゼクティブコーチングを実施しました。あわせて、リーダーシップを共通言語とすべく社長以下、一般のメンバーまで同じテーマでリーダーシップセミナーを実施しています。

BTCに終わりはない

BTCをさらに加速するため、当初の活動メンバーから、対象を全部門に広げて組織の課題に向き合う人材をタスクフォースアンバサダー(TFA)と命名して拡充しました。これにより、プロジェクトチームに寄せられる情報量が格段に増え、打ち手が実を結び始めるなど、うまく転がり出しました。

具体的には、各部署で抱えている課題を抽出して、担当役員と社員が少人数でざっくばらんに話し合う、「語る場」を企画したり、独自の広報物を発刊して情報共有したりする部署も出てきました。また、全社の施策検討メンバーとして挙手いただいたケースもありました。そして、TFAにも企画協力してもらった「キャリア支援制度」も2021年から動き出しました。その制度のなかでは 自分のキャリアに向き合い、どのようにして自身の価値を出していくかを真剣に考え、新たなフィールドに挑戦する社員も増えてきました。一歩踏み出す勇気を持つ社員の想いと、それを理解し、後押しをしようとする上司のリーダーシップがしっかりと噛み合ってきた結果です。

活動の有効性評価として、組織体質を測る定期的な調査を行っています(2021年は四半期に一度、2022年は半年に一度)。先に述べた4つの課題に関する20問程度の設問からなる調査を行っており、設問に対してポジティブに回答した社員の割合がそれぞれの設問で8割以上になることを目標に進めています。

BTCは今、活動をさらに促進させていくフェーズにあります。確かな手応えはあるものの、BTCに終わりはありません。事業環境は常に変化しますので組織や社員自身が、変化に挑戦し続けなければ、成長は止まるどころか衰退してしまうからです。ですから、多様な手段を講じ、実施し続けなければなりません。「Our Philosophy」も、常に意識され行動として実践されなければ意味をなしません。このレベルを上げ、事業そして経営の質を上げていく。これにも終わりはありません。このBTCというプロジェクトのもとで、中期計画の実現はもとより、「Our Philosophy」を全社レベルで体現していけるように常に挑戦し続けていきます。

Be the Change

中期計画を確実に達成するための経営基盤強化活動:「Be the Change」プロジェクト

「Be the Change」プロジェクトは、先行き不透明で変化の激しい環境に柔軟に対応し、より力強く同じベクトルに向かって進む組織とすべく、社長直轄の全社を巻き込んだプロジェクトで、2020年に開始しました。
継続的に利益、キャッシュを創出する力を付ける「利益基盤の強化」と風土や組織の在り方に対する課題をあぶり出し改善につなげる「組織体質の改善」の両輪で経営基盤の強化を進めています。

図:組織体質の改善:利益基盤の強化

主な施策

組織体質の改善
組織体質の改善

利益基盤の強化
利益基盤の強化

一人ひとりがリーダーシップを進化させる

360度フィードバック

上司・同僚・部下・他部署の社員からフィードバックを受け取り、その内容を読み解くことで自身のリーダーシップスタイルを客観的に見つめ直す仕組みです。
2020年に社長・役員を含む国内の管理職以上を対象に導入し、2021年には新たに課長代理級と一部の海外駐在員も対象としました。これにより対象者のリーダーシップとチーム内でのコミュニケーションの向上に結び付いています。

2022年末までに300億円のキャッシュ創出

運転資本タスクフォース

国内外のタイヤ、スポーツ、産業品の3事業に関する在庫削減を進めるとともに債権債務のスリム化により運転資本改善に取り組んでいます。活動は国内外にわたり、数百人規模のメンバーが参加し、計画通りに進行中です。

社員の「挑戦」を後押しする

キャリア支援制度

BTCプロジェクト開始前に実施した組織健康度調査から課題の見えてきた「挑戦しづらい環境」という点を解決すべく3つの施策を導入しました。
自身が挑戦したい仕事や将来のキャリア像を表明する「キャリアマッチング」。自部署とつながりの深い他の部署で一定期間仕事を行う「交換留職」。新たな取り組みにプロジェクトメンバーとして参画を募る「プロジェクト公募」。社員のキャリア開発とチャレンジへの支援を行っています。

経営資源の配分をコントロール

経営インフラタスクフォース

事業運営に必要な経営資源の配分をコントロールするための経営インフラ整備を進めるタスクフォースです。
各事業の現在地に基づき、事業の戦略的方向性を決める「事業ポートフォリオ管理」や、各事業から創出されるキャッシュ見立てから、投資余力を把握して戦略的に投資を配分する「財務フレームワーク管理」など、経営者と全社員が一体となって事業を運営していくための仕組みを構築します。