当社では、自らが主体的にキャリア形成・能力開発に取り組み、多様な人材が活躍できる環境、組織風土を実現するため、さまざまな施策を展開しています。環境変化を先取りしてグローバルに活躍し、社会に貢献できる人材、ひいては、「Our Philosophy」を体現できる人材の育成を目指します。具体的には、社員のタレントマネジメントを戦略的かつ組織的な人材育成のための重要な施策と位置づけ、拡大しています。各ポジションの人材要件と個々の育成ゴールを明確に設定し、そのゴールに向けた必要な育成施策として、研修や異動・配置転換、各種プロジェクトへの参加など、仕事の幅を広げる機会を創出します。これにより、中長期的な人材育成を促進します。一方、社員一人ひとりが将来のありたい姿を描くキャリアビジョン研修も各階層で拡充させており、タレントマネジメントとの両輪で人材育成に取り組んでいます。
2020年にOur Philosophyを策定して以来、全社を挙げて従業員への浸透活動を進めています。浸透にあたっては、管理部門、工場の技能系、海外拠点、国内関連会社など、それぞれ状況にあった形で施策を進め、Our Philosophyを体現できる人材の育成に繋げています。
管理部門・開発部門の一般から管理職、工場の職長クラス以上を対象に、2021年度から年1回、オンライン研修を実施し、色々な角度から企業理念体系を意識し続けられるように仕組み化しています。
自身で考えることを軸としたワークショップを行うことで、Our Philosophyの自分事化と実践に繋げています。また国内工場の技能系従業員向けに対面でのセミナー実施や、国内関係会社社員に対したワークショップなども順次実施しています。
海外の事業所へは、イントラネット内に多言語対応しているOur Philosophy Book(解説書)を公開していることに加えて、本社の担当者が現地とのオンライン研修を通じて解説するワークショップを開くなどコミュニケーションを行っています。
社内への浸透度を可視化するため、年1回「Our Philosophy浸透度調査」を行っています。浸透度80%以上を目標として活動を進めています。
浸透活動にはウェブ社内報も活用。役員・工場長のインタビューや部門での浸透活動事例を随時公開するとともに、浸透度調査の結果も開示し、意識づけを行っています。
評価制度に用いられている年1回の行動評価については、「住友ゴムWAY(住友ゴムグループ社員一人ひとりが大切にする価値観)」の3つの価値観である「信用と確実を旨としよう」「挑戦しよう」「お互いを尊重しよう」という考え方がベースになった項目により評価されます。また同様に360度フィードバックの設問についてもこれらが基盤となっており、フィードバックをする側も受ける側も常にどのような行動が求められるかを意識するようになっています。
住友ゴムグループでは、従業員が自己のキャリアビジョンを主体的に考え、それに向かって挑戦していけるよう、以下のようなキャリア形成の各種支援を行っています。
社員が自身の中長期的なキャリア志向をデータベースに登録することで、所属部署・希望先部署・人事に表明することができる制度です。社員本人の価値観を尊重しエンゲージメントを高め、社内ローテーションの活性化を目的としています。当制度の利用によって、早期に人事異動につながるケースも出てきています。
社内プロジェクトのメンバーに、全社部門横断的に応募することができる制度です。応募する社員は普段の業務とは異なる経験を異動することなく挑戦でき、公募するプロジェクト主幹部門は多様な人材を部門外から集めることができる効果があります。
現在、大阪・関西万博の企画運営を行っている公益社団法人2025年日本国際博覧会協会から人材の募集があった際には社内で公募を行い、立候補した2名を同協会へ2022年より派遣しています。
部門間で提携し、お互いの人材を一定期間交換する「留職」制度です。幅広い経験と視点を持ち、部門間の懸け橋となるような人材の育成を狙いとしています。
各種年代別のキャリアビジョン研修を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を支援しています。
2023年から、人事総務本部人材組織開発部内にキャリア支援機能を追加し、キャリアコンサルタントの有資格者が社員のキャリア相談を受ける体制を構築しています。
当社では、社員のタレントマネジメントを戦略的かつ組織的な人材育成のための重要な施策と位置付けています。
具体的な取り組みとして、社内取締役で構成される人事委員会(2022年より開始)にて、部長級以上の人材配置について毎月議論を行っています。また、全社の主要ポストを特定し、ポストと人材を定量的に可視化する取り組みを一部の部門を皮切りに実施しています。
今後は、経営戦略・部門戦略に連動した人材ポートフォリオを満たすように、段階的に全社に拡大していきデジタルツール(人事情報管理システム)を使い可視化することで、早期から計画的に経営人材を育成するプラットフォームが構築される計画です。
当社では、製造現場を発展させ、持続可能なものづくりを実現していく方針のもと、製造現場で実際のものづくりに携わる従業員に対する教育にも力を入れています。
特に実践的なカリキュラムを通じて技能やスキルを高め、製造現場でのアウトプット、実績/成果に繋がる指導を重視しています。
「仕事=作業+改善」という考え方を基に、OJTを通じて「作業」としてスキルの幅を広げ、また「改善」を通じて成長とやりがいを追求しています。改善の過程では、問題を発見する目を養いながら、自分の職場で直面している課題や問題を抽出し、改善して成果に繋げるチーム活動を積極的に進めています。
現場の管理項目である「安全」「品質」「生産」「設備」「原価」「労務」「環境」などを座学と実践を通じて教育しています。また、職場運営に関する「コミュニケーション力」「リーダーシップ力」などのマネジメント教育も実施しています。さらに、将来の幹部候補を養成するため、選抜者に対して特別教育を実施しています。問題解決力や課題設定・解決力を磨き、職場の理想像を描き、実行力を養うことで、現場力の向上を牽引できる人材を育成しています。
若手社員への技能伝承と意欲向上を目的に、2009年より年に2回「技能オリンピック」を開催しています。この取り組みでは、製造各工程や工務保全技能において、国内外の工場から選抜された若手社員がその技能を競い合います。こちらは世界12工場の技能向上と伝承に大きく貢献しており、近年では海外工場の技術者が優勝するなど、グローバルな技能レベルとモチベーションの向上につながっています。
世界各地に拠点を持つ当社グループでは、どこの工場で作っても同じ品質の製品ができること、すべての従業員が成長や働きがいを感じられることなどを目的に、海外での人材育成を強化しています。
特に近年では、日本の本社からの指導・支援にとどまらず、現地の事業やニーズに合わせた人材育成の強化を目指しています。
世界中どこの工場で作っても同じ品質の製品ができるように、「Our Philosophy」に基づいた品質教育の充実にも力を入れています。各工場での班長、職長などの現場の重要ポストへの階層別研修や各種国際規格の内部監査員育成や品質管理研修などを各事業所にて実施しています。また、現地に赴任し支援する日本人従業員の育成もこれらの施策を進める上で欠かせません。海外工場管理監督者、海外工場支援者、海外駐在員の育成・教育に注力し、グローバルでの技能伝承につなげています。
事業のグローバル化が進む中、英語力向上や異文化理解の教育にも積極的に取り組んでいます。
新入社員向けには、新人研修にてグローバルマインドセットのトレーニングや数日にわたる英語講義を実施し、グローバル人材への理解や英語学習の意欲を高めています。また、海外赴任前には異文化コミュニケーションに関する研修も行い、グローバル人材の育成を推進しています。さらに、一般社員向けにオンライン英語レッスンの機会も提供しており、持続的な語学力向上を支援しています。
組織体質改善プロジェクトとして2019年にBe the Change Project(通称BTC)を立ち上げました。「組織体質」と「利益基盤」の両輪強化を目的に、全社横断で各種活動を行っています。「マネジメントの巻き込み」「大きな挑戦」「働き方の改革」などを重要なポイントとし、部門の壁を越えた問題解決の推進等、より良い組織風土づくりに向けて全社で取り組んでいます。
組織体質強化のプロジェクトでは、4つの骨太方針「挑戦を後押しする環境」「部門・役職間の壁がなくオープンな職場」「一人ひとりがリーダーシップを発揮できる環境」「全社戦略とひもづいた生産性の高い仕事」の実現を目指し、以下のような変革活動を進めています。また、活動を通した組織風土変革の定量的な把握のため、2020年から組織体質アンケートを定期的に実施し、その結果を全社員に開示しています。組織の持続的な発展とパフォーマンス向上を目指し、今後も継続的に活動を進めていきます。
従来、会話で呼ぶ際やメールでの記載について、原則として役職呼称をおこなっていましたが、フラットなコミュニケーションを目的として、さん付けでのコミュニケーションを原則としました。
現時点で公式な制度化はしていませんが、上司部下のコミュニケーションが業務の進捗管理のみにならないよう、キャリアビジョンや雑談なども含めて幅広いコミュニケーションが必要であることを浸透しています。
「本人に伝えることを応援し、良い事は互いに認め合う」ことを後押しするために、普段、面と向かって感謝の気持ちを伝えにくい場合にもオンラインのポストに感謝の気持ちを投函することで数日後に対象者に感謝のメッセージがメールで届く仕組みです。
サンプリングアンケートの結果より、取り組みを通して認め合うこと・ほめることの一線や意識の浸透への一助となったと判断し、2024年7月に終了しました。今後は「互いに良い影響を与えあう環境を作る」ための企画にシフトします。
現在の大きな課題として残っているのが、生産性の高い業務遂行に関する内容です。特に間接業務について取捨選択し、さらに効率的な仕事の進め方を行わなければなりません。2024年1月に発足した業務改革準備室は、この課題解決も含めてさらに効率的かつ高度な間接業務を担うことになります。
また、当社では毎年一度、ストレスチェックとあわせてワークエンゲージメントに関する内容も聴取しており、上記の組織体質向上を行うことで個々人のワークエンゲージメントの向上に取り組んでいます。
当社グループでは、サステナビリティに対する理解と関心を深めるとともにサステナビリティ活動の拡大推進を目的として、職場や個人が取り組んだ活動をサステナビリティ活動ガイドライン「GENKI」※1に沿って表彰しています。当表彰は2009年※2から実施しており、今回は、国内外グループ各社からの応募71件の中から最優秀賞2件、優秀賞4件、特別功労賞3件が選ばれました。
受賞者 | :白河工場 水素プロジェクトチーム |
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内容 | :「製造時カーボンニュートラルの量産タイヤを製造」 水素エネルギーと太陽光発電を活用し製造時カーボンニュートラルを達成したタイヤの量産に成功 |
受賞者 | :スポーツ事業本部 合同チーム |
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内容 | :「テニスボール包材におけるプラスチック使用量削減」 テニスボール包材に使用されるプラスチック蓋およびシュリンクフィルムを廃止し、紙蓋と紙ラベルを採用することで環境負荷低減に貢献 |
受賞者 | :白河工場 総務課 品質推進班 |
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内容 | :「長年にわたる緑地維持管理と地域社会貢献活動による「みどりの社会貢献賞」受賞」 工場周辺の自然環境保護と緑化活動を49年間継続して推進、その活動が認められ「みどりの社会貢献賞」(公益財団法人都市緑化機構主催)を受賞 |
受賞者 | :株式会社ダンロップゴルフクラブ 業務部 福重 亮 |
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内容 | :「もにす認定・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰受賞」 長期間にわたり法定以上の障がい者雇用率を維持していることや職場環境整備への取り組みが評価され「もにす認定」を取得 |
受賞者 | :LGBTQ+プロジェクトチーム(Colors) |
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内容 | :「LGBTQ+理解促進プロジェクトによる取り組み」 誰もが働きやすい職場環境を実現するためにハンドブックの発行やアライステッカーの配布など様々な活動を推進し、LGBTQ+の社内啓発に貢献 |
受賞者 | :Sumitomo Rubber(Thailand)Co.,Ltd. Sustainability Planning Department |
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内容 | :「継続的な社会的責任推進プロジェクト」 |
工場周辺地域への様々なCSR活動が評価され、タイの工業省から優れたCSR活動を実践している企業に贈られるCSR-DIW賞を3年連続で受賞
受賞者 | :宮崎工場 製造第二課 蔵野 まさみ |
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内容 | :「交通事故遭遇時の初動対応による人命救助と二次災害防止」 |
受賞者 | :宮崎工場 製造第三課 横瀨 拓弥 |
内容 | :「大雨の通勤時に遭遇した小学生への応急手当」 |
受賞者 | :ダンロップタイヤ四国株式会社 中讃営業所 |
内容 | :「営業所での救済保護活動」 |
近年、サステナビリティに関する企業の取り組みへの注目が一層高まっています。当社グループは、経済的価値、社会的価値の双方の視点から新たな価値を創造することにより、持続可能で安全・安心・快適に働き、暮らしていける社会の実現に貢献します。今後も、当社グループならではの事業活動によって、より高い経済的価値と社会的価値の創出に取り組んでまいります。
※1 サステナビリティ活動ガイドライン「GENKI」は、Governance(ガバナンス)、Ecology(事業活動の環境負荷低減)、Next(次世代型技術・製品・サービスの開発)、Kindness(一人ひとりが輝ける寛容な風土)、Integrity(社会の誠実さ)の5つカテゴリーで構成しています。それぞれに住友ゴムが認識する課題(全13指標)を設定しており、課題の解決を目指して活動を進めています。
※2 2009年に「CSR表彰」としてスタートし、2021年から表彰対象を拡大するとともに「サステナビリティ表彰」に名称を変更しました。
住友ゴムグループは、人事考課制度に基づいて全従業員を客観的・合理的に評価し、処遇を決定しています。人事考課には、年1回の年間人事考課と年2回の上期・下期考課があります。年間人事考課では、職能要件表に沿って従業員の職務遂行能力の向上度合いを評価し、能力開発と処遇につなげています。上期・下期考課では、目標管理表に従って半期ごとに業績を評価し、結果を賞与に反映しています。また、2018年度より上期・下期考課に「チャレンジ目標」を追加し、よりチャレンジングな風土醸成を図っています。従業員の納得性を高めるために、評価の詳細は必ず本人と面談の上通知し、また透明性を高めるため、評価項目・プロセスを明示しています。さらに、公正な評価と充実した面談が実施できるよう、新任に限らずすべての管理監督者に適宜考課者研修を実施しています。
住友ゴムグループでは、所定の要件を満たし、上長が推薦する者について、課長級管理職への任用審査と課長代理への昇格試験を毎年1回実施しています。
任用・昇格候補者に対して事前にアセスメントを実施し、その結果や過去の考課における成績の優秀さ等もとに推薦された者に対し、役員および人事部門で公正に審査し、合否を決定しています。