サプライチェーンマネジメント

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基本的な考え方

  • 住友ゴムグループ

住友ゴムグループは、公正かつ開かれた企業活動を目指し、お取引先様と良きパートナーとなるために、調達ガイドラインの作成・運用、法令の改正や外部環境の変化などに応じた同ガイドラインの改訂などの取り組みを通じて、持続可能な調達を推進しています。
また、お取引先様からの改善提案(VA提案(VA:Value Analysis、価値分析))や設計段階からの提案(VE提案(VE:Value Engineering、価値工学))を積極的に受け入れています。
また、住友ゴムの主力製品で使われているタイヤの原材料には、豊かな自然の恵みによって生み出された天然ゴムも使われています。この天然ゴムの生産を持続可能なものにするために、天然ゴムに関わる全ての人々と協業して、サプライチェーンが抱える問題の解決に取り組みます。こうした取り組みを通じてお客様に安心とヨロコビを提供していきます。

住友ゴムグループ「持続可能な天然ゴム方針」

当社は持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(GPSNR※)に2018年9月に参画しました。天然ゴム生産地域での森林破壊による環境問題や、労働環境における人権問題などへの取り組みをさらに推進するため、2018年11月にGPSNRのポリシーフレームワークの内容を住友ゴムグループ「持続可能な天然ゴム(SNR)方針」に反映し、内容を策定しました(2021年8月刷新)。
この方針に基づきサプライチェーン上の皆様と連携した取り組みを積極的に推進し、天然ゴムの持続可能な調達を目指しています。

※ Global Platform for Sustainable Natural Rubber

持続可能な天然ゴム方針 [2021年8月](日本語版)

Sustainable Natural Rubber Policy [August 2021] (English)

Sustainable Natural Rubber Policy

ガイドライン

  • 住友ゴムグループ

調達ガイドライン

当社グループでは持続可能な調達を目指し、2024年7月に調達ガイドラインを第8版に改訂しました。天然ゴムに関する活動やお取引先様に実施いただきたい事項の追記を行い、お取引先様へのご協力をお願いしています。特にカーボンニュートラルについて、お取引先様には十分にご理解いただき、実践してもらえるように努めています。

調達ガイドライン第8版【タイヤ用原材料】WEB版(日本語版)

Procurement Guidelines 8 Edition 【Raw materials for tire】 Web Edition

采购指南第8版【轮胎原材料用】(中国語版)

Diretrizes de aquisição 8ª Edição [Para matérias primas de pneus](Versão Web)

Pedoman Pengadaan Edisi ke-8 [Bahan baku mentah untuk ban](Edisi Web)

แนวทางการจัดซื้อจัดจ้าง ฉบับที่ 8 [ส าหรับวัตถุดิบยางรถยนต์](รูปแบบอิเล็กทรอนิกส์)

グリーン物流ガイドライン

  • 住友ゴムグループ

住友ゴムグループは、2007年12月に策定した「グリーン物流ガイドライン」に基づき、サプライチェーンを通じた環境保全活動を推進しています。

住友ゴムグループ「グリーン物流ガイドライン」(小冊子)
住友ゴムグループ
「グリーン物流ガイドライン」(小冊子)

サステナブル調達に向けてのリスク管理

  • 住友ゴムグループ

当社グループは、原材料などの購入にあたってISO14001認証取得企業を優先するほか、原材料に含まれる有害物質削減などの環境負荷物質管理体制の強化、中国環境規制に関する調達リスク評価に取り組んでいます。
当社のサプライチェーンにおける人権・ガバナンス・環境へのパフォーマンスをモニタリングかつ評価を効率的に行うために、2022年1月から国際的な第三者評価機関であるEcoVadis社(エコバディス社)を起用しています。同社は持続可能性を評価するためのプラットフォームを運⽤しており、サステナビリティに関する基準でお取引先様を評価しています。
また、当社グループでは、スコープ1,2におけるカーボンニュートラル化達成を目指すだけでなく、スコープ3を含むサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。今後、お取引先様には、CO2削減やサステナブル材料の採用に向けた取り組みへのご協力をお願いしていきます。

天然ゴム農園での社会的リスク

世界の天然ゴム需要規模はこの40年間で約3倍に増えています。
これは世界的な人口増加と急激なモータリゼーションの広がりが大きな原因となっています。それに関連して、違法な森林伐採や土地収奪、人権侵害などの問題、森林破壊や違法伐採による生物多様性への悪影響などが懸念されています。
天然ゴムの生産は大規模なプランテーションではなく、スモールホルダーと呼ばれる小規模農家が約85%を占めています。小規模農家ではゴムの収穫の知識・ノウハウや経験の不足による経済的な貧困や、生態系への負荷の増加といった問題が懸念されています。
また、天然ゴムの産地の多くは熱帯雨林地域に存在しており、数多くの希少な生物が暮らす豊かな土地に隣接しています。天然ゴム農園の拡大などは、こうした生物の暮らしに影響を与えることがあります。

一般社団法人日本自動車会議所WEBサイトより

トレーサビリティの困難さと重要性

天然ゴムのサプライチェーンは、全世界で約600万戸の小規模農家、プランテーション、ディーラー、加工業者など多数のステークホルダーで構成され、非常に複雑です。また、場合によっては地域や国境を越えた取引も行われています。そのため生産者から天然ゴム加工工場までの流通ルートを明らかにすること(トレーサビリティを確保すること)は非常に困難です。しかしながら、森林破壊や人権侵害などのリスクが少ない天然ゴムであることを確認し、調達していくことが重要と認識しています。

トレーサビリティの困難さと重要性

※ 農作物や製品の検査のため、生産・加工・流通などの工程を追跡すること。

化学物質の取り扱い

調達ガイドラインでGADSL※1に準拠した化学物質管理を規定

化学物質の取り扱い

※1Global Automotive Declarable Substance List
日欧米の主な自動車、部品、化学メーカーでまとめた業界標準の環境負荷物質リスト。

中国環境規制リスクに関する調達リスク評価

中国環境規制に関する環境変化・調達リスクを見極め、調達戦略に活かす目的で、中国に工場を有するタイヤ原材料のお取引先様を対象に、ISO14001認証取得、企業事情、順法性、現場管理、環境改善取り組みなどの総合評価を調達部門で行っています。
この活動は2018年3月から開始しており、現地を訪問して確認・評価することを基本として、23年末の時点で65社の環境影響評価を行いました。調査後、ISO14001要求事項に基づき、順法性への対応方法(責任者の明確化や記録した書類の保管など)や、現場の管理方法(4Sや設備の保全管理など)について改善の提言を行い、フィードバックをしています。

目標と実績

  • 住友ゴムグループ

サステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」の目標

「持続可能な天然ゴム(SNR)方針」を満たす原材料の調達

~2030年:主要な取引先を対象。
~2050年:すべての取引先に拡大。

第三者評価機関(EcoVadis社)の活用による持続可能な調達の実現

タイヤ原材料について購入金額ベースで95%を、基準点45点以上の取引先から調達(2030年)

※ タイヤ以外の事業にも順次展開予定

2023年実績は、PDF「2023年の目標と実績」をご確認ください。

課題解決への取り組み

  • 住友ゴムグループ

当社グループはサステナビリティ長期方針に基づき、調達活動計画の具体化を進めています。サプライヤー評価については、これまでのQCD(Quality, Cost, Delivery)を中心としたものから、お取引先様の経営状態、事業方針や中長期計画などを常時把握し、調達戦略を策定しております。今後も引き続き、サプライチェーン全体におけるサステナビリティ課題の洗い出しと改善、さらには生物多様性におけるサプライヤーとの連携、取り組みなどを進めていきます。
さらに、自社で天然ゴムの生産性やゴム性能を向上させるための研究開発を行うことで、原材料の持続可能性向上と生物多様性への影響の低減に貢献していきます。

天然ゴムに特化した環境・社会的リスク評価ツール「RubberWay®の導入

当社では持続可能な調達のため、天然ゴムのサプライチェーン上のリスク特定が非常に重要と考えています。そのため、天然ゴムに特化した環境・社会的リスク評価ツールである「RubberWay®」を2023年7月から導入しました。本ツールは、膨大なアンケートデータを統計解析して環境および社会問題のリスクの大きさを評価し、地図上に表示します。対象地域は主な天然ゴム産地の10か国で、評価項目には、森林破壊、水資源管理並びに強制労働や児童労働などが含まれます。
将来的に「RubberWay®」を効果的に活用することで、天然ゴムサプライチェーンのリスク評価・同定と高リスクの緩和施策の策定を進め、持続可能な天然ゴムの調達に寄与していきます。

※ ミシュラン、コンチネンタル、ソフトウエア開発会社SMAGが開発したアプリケーションソフト

欧州森林破壊防止規制(EUDR)への対応

2024年末からEUDRが義務化され、今後のEU市場でのタイヤその他ゴム製品の販売に大きな影響を与えることが予想されます。当社では経営層から現場部門に至るまで、関係役職員が天然ゴムの持続可能性に関するコミットメントを理解し、EUDRに確実に準拠できるように業界全体との連携、システム開発などの対応を進めていきます。今後グループ全体で天然ゴムの持続可能性に関するガバナンスを強化し、より一層取り組みを進めます。

※ EU Deforestation Regulation

EcoVadis 活用

当社グループは、EcoVadis社を通じて、お取引先様の、環境、人権、腐敗、公正取引といったさまざまなサステナビリティへの取り組みを確認し、評価を実施しています。
また、これから新規に取引を開始するお取引先様も、同様にデューデリジェンスを実施し、腐敗リスクの評価と予防に関する働きかけを行っています。サステナビリティの長期方針の目標として、「タイヤ原材料について購入金額ベースで95%を、基準点45点以上のお取引先様から調達(2030年)」を設定致しました。2023年実績では、タイヤ原材料について購入金額ベースで87%に達しました。
こうしたデューデリジェンスや評価の結果が、一定の基準以下だったお取引先様には改善を依頼させていただきます。EcoVadis社を起用することで評価基準が統一され、その評価結果や改善提案などが、お取引先様の効率的なサステナビリティ活動の推進に寄与できると期待しています。

インドネシアでの『パイロットプロジェクト』再開(2022年9月~)

スミトモ・ラバー・シンガポールは、新型コロナウイルス感染拡大で一時中断していたインドネシア・ジャンビ州での『パイロットプロジェクト』を改めてキックオフしました。天然ゴムサプライヤーのハルシオン・アグリ社(シンガポール)と協働で、天然ゴム農家の現状や原料の流通経路調査、農家への研修、肥料の無償提供といった支援活動を行っています。これらの活動を通じ、小規模農家の「生の声」を聞きながら、天然ゴムの流通経路を把握し、供給リスクに対する評価を通じて、トレーサビリティと透明性向上への取り組みを推進しています。

「アグリデンス・ラバー・プラットフォーム」を通じた調達を開始(2022年11月~)

天然ゴムの複雑な流通経路トレースのために、シンガポールのアグリデンス・ラバー社が提供する「アグリデンス・ラバー・プラットフォーム」を通じて天然ゴムの調達を始めました。同システムを利用し、天然ゴムを調達することで、加工業者の情報だけでなく、上流工程に位置する生産地域まで情報追跡が可能となります。

タイ『キャパシティ・ビルディング・プロジェクト』への資金援助

GPSNRがタイで実施する小規模農家支援「キャパシティ・ビルディング・プロジェクト」に資金援助を行っています。小規模農家の所得改善、「Good Agricultural Practices(GAP)」の推進などが目的のプロジェクトです。

タイ近隣農家への栽培トレーニング

当社グループの天然ゴム加工所「スミラバー・タイ・イースタン・コーポレーション」を通じて、近隣農家を支援しています。苗木の提供や施肥など、当社の持つ知識を共有し、最終的に農業従事者の生活水準を上げていくことを狙い、取り組んでいます。

TOPICS:天然ゴム生合成メカニズム解明に向けた取り組み

「Tire Technology Expo 2023(」ドイツ・ハノーバー)内で開かれた「Tire Technology International Awards for Innovation and Excellence」において当社の研究成果が評価され、以下の2部門で受賞しました。

バイオポリマー合成の概要
(Materials Innovation of the Year受賞)

東北大学、金沢大学、埼玉大学、理化学研究所と共同で、天然ゴム合成酵素と類似した構造を持つトマト由来酵素の研究を進め、自然界に存在しない構造のバイオポリマーの合成に成功しました。

バイオポリマー合成の概要

酵素評価方法の概要
(R&D Breakthrough of the Year受賞)

埼玉大学、東北大学、金沢大学との共同研究により、人工膜(ナノディスク)を用いた酵素評価方法を発明しました。従来の天然由来の膜より精度の高い評価が可能になり、人工膜上での天然ゴム合成酵素の機能発現にも成功しました。

酵素評価方法の概要

ゴムノキ苗生産技術の改良による天然ゴム生産性向上の取り組み(タイのコンケン大学との協業)

当社グループの「持続可能な天然ゴム方針」に沿って、天然ゴムの収量改善に取り組んでおり、2024年3月よりタイのコンケン大学との共同研究を開始しました。本研究は、組織培養由来のゴムノキの苗と通常の接ぎ木由来の苗の、生育や葉の形などの調査と植物生理学的反応の比較により、生育速度の違いや収量向上につながるメカニズムを解明することを目的としています。本研究により天然ゴムの生産性向上を図り、持続可能な天然ゴム調達に向けた取り組みをさらに加速させていきます。

物流品質の向上

いわゆる「物流2024年問題」への対応やトラックドライバー不足と高齢化の延長線上にある車両確保のため、さらには、コンプライアンス(法令遵守)の面で、当社(荷主側)ではドライバーの負荷低減、環境改善を重要課題として認識し「入門受付から積み込み完了までの所要時間削減に取り組んでいます。
入門指定時間の導入・システム化や工場倉庫間の移動回数の減など各種取り組みにより、待機時間、積み込み時間の短縮に努めています。
この取り組みは、CO2の削減にも繋がっており、今後も当社は物流品質の向上に取り組むことで、この先も共存共栄を追及していきます。