長年にわたるゴムの研究・開発で培った先進技術から誕生した高減衰ゴム。高減衰ゴムは特殊な配合により、一般のゴムと比べて運動エネルギーを熱エネルギーに効率良く変換し、そのエネルギーを吸収する特性を持つゴムです。この運動エネルギー吸収という高減衰ゴムの特性を、地震や風などによる揺れを吸収する技術に応用したのが制振ダンパーです。
高減衰ゴムの特長
住友ゴムの制振ダンパーは、大型橋梁ケーブルや橋桁のダンパーをはじめ、戸建住宅から超高層ビル等の建築物用の制振材まで、幅広い分野で活用されています。中でも橋梁ケーブル用ダンパーは、国内はもとより海外でも実績を重ね、世界各地の大型プロジェクトで採用されています。
制振ダンパーの特長は、地震の揺れや風揺れ、交通振動などを抑える安全性の面だけではありません。構造物への損傷や負荷を軽減することで、構造物の長寿命化を実現するため、省資源にも寄与する環境技術と言えます。
優れたエネルギー吸収性能で、ダンパー設置数を最小限に抑え、低価格を実現した、住宅用制震ユニット「MIRAIE(ミライエ)」を展開しています。構造物は地震で負荷がかかるたびにダメージを蓄積します。しかし、「MIRAIE(ミライエ)」は地震のたびに最大95%※1の揺れを吸収。家の損傷を抑え、住まいの資産価値を守ります。また特殊な構造と接着方法を採用することで優れた経年耐久性を有し、定期的なメンテナンスが不要となるため、長期にわたり地震から大切な住まいを守り続けます。
※1 2017年1月京都大学防災研究所でのMIRAIE軸組を使用した実大実験の結果による。
MIRAIE
当社の高減衰ゴムを用いた制震ダンパーは、熊本地震で大きな被害を受けた熊本城天守閣(大天守・小天守)にも設置されています。採用された制震ダンパーは、3枚の鋼板の間に板状の高減衰ゴムを強力に接着したもので、大天守最上階(6階)および小天守最上階(4階)の柱上部と梁を方杖状に連結して取り付けるもので、空間を遮ることなく、制震効果を発揮しています。
熊本城