CASE(Connected(コネクテッド)・Autonomous(自動化)・Shared&Services(シェアリング/サービス)・Electric(電動化))やMaaS(Mobility as a Service)の発展によりカーシェアリング、ライドシェアなど、車の所有から使用への転換が進み、自動車業界が変革する中、タイヤに求められる性能や機能も変わってきています。そのような環境の下、住友ゴムでは未来のモビリティ社会を見据え、安全性能と環境性能を一層高めたタイヤ開発および周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を推進しています。
「自動運転に対応するタイヤ」「安全・安心なソリューションを提供できるタイヤ」「ライフサイクルアセスメントの考えを織り込んだタイヤ」など、将来のタイヤを見据えたさまざまな技術開発を進めるものです。例えばタイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」を採り入れた商品開発を推進しています。また、デジタルツールを用いて得られるさまざまなデータを利用した新たなソリューションサービスの展開にも取り組んでいます。
タイヤ開発で培ったタイヤの動的挙動に関する知見と、タイヤの回転により発生する車輪速信号を解析するデジタルフィルタリング技術を融合させることで、タイヤの空気圧、摩耗状態、荷重や滑りやすさをはじめとする路面状態を検知する当社独自のセンシング技術です。現在は、空気圧の低下を検知しドライバーにアラートする技術を実用化し、既に多くの車両に搭載されています。今後はタイヤだけでなく路面状態も含めたデータがその車両の制御に活用されるだけでなく、クラウド経由で街、社会の情報に統合されビッグデータとして解析されます。そしてそのデータは車両にフィードバックされ、タイヤや路面に起因する危険を事前に察知し、回避することまでも可能になります。また、この技術はタイヤそのものをセンサーとして利用するため、タイヤへの付加的なセンサーの追加を必要とせず、メンテナンスフリーであることが大きな特長です。
2022年4月22日に、「センシングコア技術の将来構想発表会」を開催いたしました。
発表会では、センシングコアの実用化に向けた新たな取り組みと今後の機能拡張について説明するとともに、
今後のビジネス構想についても発表しました。
路面に接する唯一の部品であるタイヤが、ウエット路面や凍結路面など路面状況の変化に反応して、ゴムの機能がアクティブ(能動的)に変化することで、路面や気温に応じた最適な性能を発揮し、安全・安心なドライブを続けることができる技術の確立を目指しています。
タイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる技術です。独自のAI技術「Tyre Leap AI Analysis」※1と新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」※2を駆使し、タイヤの摩耗や経年による性能低下のメカニズムを分子レベルで解明。これまでタイヤに用いていたポリマーとは全く異なる「水素添加ポリマー」を採用し性能持続技術を実現した「エナセーブ NEXTIII」「VEURO VE304」を発売しています。また、スタッドレスタイヤの「WINTER MAXX 03」には、ゴムのしなやかさを長期にわたって保つ「液状ファルネセンゴム※3」を採用しており、高い氷上性能を長期間維持します。
※1 Tyre Leap AI Analysis (タイヤ リープ エーアイ アナリシス):タイヤの原材料情報に加えてゴム内部の構造情報である高度分析データのリアルな情報から高精度なゴム物性推定や、使用前後の構造変化の検知によって使用後のゴム物性推定などに応用できるAI技術
※2 ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド フォーディー ナノ デザイン):ナノからミクロンレベルまでゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることを可能とする技術
※3 株式会社クラレがWINTER MAXX向けに開発した素材。ゴムと軟化剤の2面性をもち低温下での密着とゴムの柔らかさ維持に効果を発揮する。
空気充填が不要でパンクしないタイヤ「GYROBLADE(ジャイロブレイド)」の実用化に向けた技術開発を進めています。空気を使わないことで、ドライバーはタイヤパンクの心配や内圧管理の手間から解放され、安全・安心なドライブを実現できます。