スポーツ事業

写真:執行役員 森山 圭治写真:執行役員 森山 圭治

ゴルフ事業は世界最大市場である
北米でのプレゼンス拡大に注力。
真のグローバルプレーヤーとなるべく
一歩ずつ着実に前進しています。

執行役員
スポーツ事業本部長

森山 圭治

2023年度は増収増益、事業利益率は10%に

2023年度のスポーツ事業の業績は、3年連続増収増益となり、事業利益率は約10%となりました。海外売上比率は67%と当面の目標としている70%まであと一歩のところまで来ており、スポーツ事業本部として自信を深めているところです。
2027年までの中期計画においては、ゴルフ事業ではクラブとボールで「グローバルTOP3」を目指す一方、テニス事業ではグローバルでのテニスボールシェアTOP3の信頼を基盤に事業の拡大を追求し、真のグローバルプレーヤーを目指した挑戦を続けています。
今後は現状の業績に甘んじることなく、当社の強みである製品開発力や生産技術力を駆使して、競争力のより高い製品づくりに挑んでいきます。また、私が大切にしている5ゲン主義「現場、現物、現実、原理、原則」を踏まえたマーケティング活動を通じて、世界の各市場のニーズに即した製品の提供にまい進していく考えです。

売上収益

売上収益

事業利益

事業利益率

※ 事業利益=売上収益−(売上原価+販売費及び一般管理費)

北米ゴルフ事業 売上収益推移

北米ゴルフ事業 売上収益推移

※ 2015年の売上を100とした指数

ゴルフ事業は北米をさらに強化

2023年度は北米や韓国をはじめとする海外市場での販売が好調でした。特にSRIXON(スリクソン)が大きく伸びたほか、Cleveland Golf(クリーブランドゴルフ)はウエッジのシェアがグローバルで2位という強いブランド力で業績を向上させています。そして、日本や韓国では、圧倒的なブランド力を誇るXXIO(ゼクシオ)が好調に推移しました。これら3つのブランドがそれぞれの特長を活かして、売上を伸ばしているのがゴルフ事業の強みです。
これまでの戦略の中では、XXIOやCleveland Golfで稼いだ利益を将来の利益の源泉であるSRIXONの成長に投資してきました。そして、最高峰のメジャートーナメントで、一流のプロ選手がSRIXONのクラブとボールで試合に臨み、優勝することが我々の夢であり、2019年以降、その夢がいくつも実現しました。中でも、当社とゴルフ用品使用契約を結んでいる松山英樹選手が、2021年のマスターズ・トーナメントで優勝したことは大きな自信となりました。
これにより、「一流のプロが使用するゴルフギア」としてのブランド価値が高まり、北米での業績が右肩上がりとなっています。2024年度は市場縮小を見込む中での競争激化、将来へのさらなるビジネス発展に向けたマーケティングやDX投資による経費増により、一時的に減益を見込んでいるものの、今後のさらなる飛躍に向けて北米での人員を増強し、販路の拡大を図っています。
加えて、スポーツ事業のコアコンピタンスといえる製品の開発力を発揮して、競争優位をさらに高めていきます。日本では、タイヤ研究で培ったゴム材料技術やシミュレーション技術に富んだゴルフ科学センターを活用し、XXIOなどの有力製品の開発を進めています。一方、米国では、Marketing、R&Dチームが中心となって、市場ニーズやツアープロの要望に即した商品企画に注力しています。今後も日本および米国の二極開発体制を軸に、他社と差別化した商品開発につなげていきます。

13代目ゼクシオゴルフクラブ

13代目ゼクシオゴルフクラブ

テニス事業は、ボールでの信頼を強みにラケット販売を加速

テニス用品については、グローバルでのボールシェアTOP3の地位を堅持し、欧州をはじめ、アジア、北米、日本といった主要な市場でテニスボールの販売を核として事業展開を進めています。
そのため、世界最高峰のATP(男子プロテニス協会)ツアーでの当社ボールの使用率No.1を維持し、世界のトッププロに支持され続けることがマーケティング上重要と考え、ツアーへの協賛や有力選手へのアプローチに努めてきました。2023年度は当社のプレゼンスが欧州からアジア地域まで広く拡大したことが成果の一つと捉えています。
また、将来のラケットビジネスの拡大も見据えて、有力アカデミーとの契約によって、将来性のある若手選手に対する支援活動に取り組んでいます。いずれは世界ランキングトップ10に入るようなジュニア選手をスカウトしていくことで、将来の成長に向けた道を拓いていく考えです。
製品開発では、昨年開設した「テニス科学センター」も最大限活用しながら総合的に測定・解析・評価を行っています。今後、素材開発やシミュレーション技術など強みをさらに磨いていくことで、一人でも多くの世界の有力プロ選手から認められ、ラケットの市場シェア拡大につながる製品づくりを目指してまいります。

テニスボール「DUNLOP ATP」

テニスボール「DUNLOP ATP」

スポーツ事業のさらなる成長に向けて

スポーツ事業の第3の柱であるウェルネス事業については、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の5類移行後、市況の回復が進みましたが、コロナ禍前の2019年の水準にはまだ戻っていません。当社としては、集客の市況以上の回復や、効率的な経営により、利益貢献を図っています。
また、サステナビリティの取り組みでは、ゴルフボールでは植物由来のバイオマス素材を一部に使用し、現行モデルと同性能を実現した「SRIXON Z-STAR+e(スリクソンゼットスタープラスイー)」(非売品)を開発し、11月のダンロップフェニックストーナメントで発表しました。テニスボールでは、容器のふたやプラスチックラベルを紙化し、容器をリサイクルPET配合材に変更するなど、環境負荷の低減に向けて積極的に取り組みました。
コロナ禍の影響が大きかった2020年度から、2021年度以降はV字回復を果たし、事業利益はコロナ禍前の2倍になりました。スポーツ事業は、過去にも震災をはじめ時代の荒波を何度も乗りこえ、危機に対する抵抗力を蓄えてきました。企業風土に勝る経営戦略はないといわれますが、従業員の熱意こそが逆風に打ち勝つ風土につながると私は考えています。今後も組織が一体となって、時代の変化に的確に対応しつつ、成長を続けてまいります。
そしてその先では、製品をお買い上げいただくだけでなく、製品の使い方、さらにスポーツの楽しみ方を含めて提案していくことも必要ではないかと考えています。スポーツ事業のこれからにぜひご期待ください。