Governance[サプライチェーンマネジメント]
住友ゴムグループは、公正かつ開かれた企業活動を目指し、取引先との確かなパートナーシップを築くために、調達ガイドラインの作成・運用、法令の改正や外部環境の変化などに応じた同ガイドラインの改正などに取り組んでいます。また、取引先からの改善提案(VA提案(VA:Value Analysis、価値分析))や設計段階からの提案(VE提案(VE:Value Engineering、価値工学))を積極的に受け入れています。
さらに、すべての原材料、主要なタイヤ生産設備などの調達業務で、調達先・調達量・品目などを集約化する集中購買を実施しており、そのメリットを活かす購入品の共通化も進めています。
住友ゴムグループでは、持続可能な社会の実現を目指すため、2021年1月に調達ガイドラインを刷新しました。
コンプライアンスや人権・労働、安全・衛生、地域社会、環境などを包含した行動規範を定め、調達ガイドラインに掲載し全取引先に配布しています。
お互いの良きパートナーとなるために、取引先と共に、その仕入先様にも調達ガイドラインを十分にご理解いただき、実践してもらえるように努めています。
サステナビリティ長期方針策定に基づき、2050年を見越して、調達活動計画の具体化を進めています。サプライヤー評価については、これまでのQCD(Quality, Cost, Delivery)を中心としたものから、取引先の収益状態、事業方針および計画、持続可能な社会への取り組みなどを把握する形に進化させて、品目ごとに調達戦略を策定することにしました。
脱炭素化社会の実現と、必要な環境対策、人権、ガバナンス対応など、双方の安定した事業継続のために取引と共に持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。
住友ゴムグループ全体で下請法(下請代金支払遅延等防止法)遵守を徹底するために、住友ゴム工業の法務部が主体となって、購買部と関係部署を巡視するとともに、社内下請法講習会などを毎年実施しています。
また、下請事業者を訪問し、取引内容の確認を行うなど、適正な取引に努めています。
企業の社会的責任を果たすべく、持続可能な調達の実現のために、当社のサプライチェーンにおける人権・ガバナンス・環境へのパフォーマンスをモニタリングかつ評価し、今後の調達活動に活用していくことといたしました。
この取り組みを効率的に行うために、2022年1月から国際的な第三者評価機関であるEcoVadis社(エコバディス社)を起用しています。同社はお取引先様の持続可能性を評価するためのプラットフォームを運⽤しており、サステナビリティに関する基準でお取引先様を評価しています。
当社グループは、EcoVadis社を通じて、お取引先様の、環境、人権、腐敗、公正取引といったさまざまなサステナビリティへの取り組みを確認し、評価を実施しています。 また、これから新規に取引を開始するお取引先様も、同様にデューデリジェンスを実施し、評価を行っています。こうしたデューデリジェンスや評価の結果が、一定の基準以下だったお取引先様には改善を依頼させていただきます。もし改善が見込めない場合は、今後の取引停止を含めた関係の見直しをいたします。
また、EcoVadis社を起用することで評価基準が統一され、その評価結果や改善提案などが、お取引先様の効率的なサステナビリティ活動の推進に寄与できると期待しています。
また中国環境規制に関する環境変化・調達リスクを見極め、調達戦略に活かす目的で、原材料メーカーを対象に、ISO14001認証取得、企業事情、順法性、現場管理、環境改善取り組みなどの総合評価を調達部門で行っています。
この活動は2018年3月から開始しており、現地を訪問して確認・評価することを基本として、22年末の時点で原材料メーカー 50社の環境影響評価を行いました。調査後、原材料メーカーにはISO14001要求事項に基づき、順法性への対応方法(責任者の明確化や記録した書類の保管など)や、現場の管理方法(4Sや設備の保全管理など)について改善の提言を行い、フィードバックをしています。
持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指し、当社は2016年10月に国際ゴム研究会(IRSG※1)が提唱する天然ゴムを持続可能な資源とするためのイニシアティブ(SNR-i※2)、2018年9月に持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(GPSNR※3)に参画し、当社グループ事業の最重要な資源である天然ゴムの利用を持続可能なものにする各種活動に、グループ全体で取り組んできました。
2021年8月には、天然ゴムの生産地域での森林破壊による環境問題や、労働環境における人権問題などへの取り組みをさらに推進するため、GPSNRのポリシーフレームワークの内容を住友ゴムグループ「持続可能な天然ゴム方針」に反映し、刷新しました。
「持続可能な天然ゴム方針」に沿って、サプライチェーンをはじめとしたステークホルダーの皆様と連携した取り組みを積極的に推進し、天然ゴムの持続可能な社会の実現を目指していきます。
※1International Rubber Study Group
※2Sustainable Natural Rubber Initiative
※3Global Platform for Sustainable Natural Rubber
住友ゴム工業が70%を出資する天然ゴム加工事業会社Sumirubber Thai Eastern Corporation社(本社タイ・ウドンタニ県)ではタイ東北部の農家に対して、天然ゴム原料であるカップランプ(液状ゴムを酸で固めたもの)の品質向上や安定的な農園経営をサポートする活動を行っています。2020年は、新型コロナウイルス感染の拡大のため大規模なサプライヤー会議の開催は中止しましたが、カップランプ集積場での小規模なミーティングを引き続き実施しました。ミーティングは、タイ東北部内のカップランプ集積場8か所で開催し、延べ205戸の農家の方に参加していただきました。ミーティングでは、現在の天然ゴム業界を取り巻く環境を理解してもらうためのSNR(持続可能な天然ゴム)の取り組みについての説明や品質向上のための指導を行い、農家の方からも多くの意見をいただきました。
住友ゴムグループの天然ゴム調達会社であるSUMITOMO RUBBER SINGAPORE PTE. LTD.と天然ゴムの生産、流通を手掛けるHalcyon Agri Corporation Ltd.( シンガポール、以下ハルシオン・アグリ)の天然ゴム加工会社であるPT. Hok Tongは、9月にインドネシアのジャンビ州で、新型コロナウイルス感染症の流行で一時中断していた「Traceability and Transparency pilot project(パイロットプロジェクト)」の再開にあたりキックオフセレモニーを開催しました。
当社は天然ゴムのトレーサビリティ※1および透明性向上への取り組みを推進するために、WWF※2のパイロットプロジェクトに参加していました。さらに生産者(農業者)の生活水準改善を目的に、ハルシオン・アグリと協働で天然ゴム農家の現状や原料の流通経路の調査と、農業者への研修、肥料の無償提供などの支援活動を行います。
※1天然ゴムのサプライチェーンの流通経路や原料の起源を明確に追跡すること。
※2100カ国以上で活動している環境保全団体。
新型コロナウイルス感染症の影響により、現地訪問に代わるコミュニケーションツールとしてオンラインでのミーティングを開始いたしました。 他社の品質不具合事例の横展開、モバイル端末を用いた工場見学などを通じて、加工場との良好なコミュニケーションを実施するとともに、品質不具合の発生件数およびクレーム金額を半減させることができました。2020年は主要加工場の約50%とのオンラインミーティングを実施済で、2021年度はオンライン形式での監査を試験的に開始しました。
また、各国の新型コロナウイルス事情を鑑みて、集合形式で開催していたサプライヤーミーティングはオンライン形式にて実施いたしました。弊社のSNR活動に関するご説明に加え、知的財産部門の担当者によるコンプライアンスセミナーを実施し、コンプライアンス強化の重要性や強制労働や児童労働等の禁止、違反時の損失等について具体例を用いながらご説明させて頂きました。
2021年には、コロナ渦におけるニューノーマル(新常態)時代に向けた現地訪問とオンラインを組み合わせた「ハイブリット監査体制」を構築し、より一層のコミュニケーションレベルの向上を図っていきます。
住友ゴムグループは、原材料などの購入にあたってISO14001認証取得企業を優先するほか、原材料に含まれる有害物質削減などの環境負荷物質管理体制の強化、低公害車・低燃費車導入などのグリーン調達に取り組んでいます。
今後もグループを挙げて、環境へ配慮した原材料などの購入と管理に努めていきます。
また、取引先に対しては、調達ガイドライン内「CSR調達ガイドライン」で住友ゴム工業の環境に関する考え方、要求事項をお伝えしています。
※4Global Automotive Declarable Substance List
日欧米の主な自動車、部品、化学メーカーでまとめた業界標準の環境負荷物質リスト。
住友ゴムグループでは、CO2排出削減に貢献すべく積極的に低公害車・低燃費車の導入に努めています。
2021年度はハイブリッド車導入と、コロナ禍に伴う稼働率低下ために実施した減車の効果により、低公害車・低燃費車の導入割合は、3.2ポイント増の80.3%になりました。
今後も継続して、車両入替にはハイブリッド車、電気自動車を中心に進め、CO2排出量削減に向け取り組んでまいります。
住友ゴムグループは、廃タイヤを再資源化したゴム粉・再生ゴムを有効活用しています。
2021年度は、タイヤ製造などに9,177トンの再生ゴム・ゴム粉を使用したほか、弾性舗装や人工芝などの産業品用途にも4,081トンの再生ゴムを使用しました。
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
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再生ゴム | 5,928 | 6,383 | 6,667 | 6,794 | 6,162 | 7,140 |
再生ゴム粉 | 2,484 | 2,477 | 2,366 | 2,310 | 2,071 | 2,037 |
産業品用途 | 4,153 | 6,818 | 5,199 | 4,529 | 4,937 | 4,081 |
合計 | 12,565 | 17,694 | 14,233 | 13,633 | 13,169 | 13,258 |
住友ゴムグループは、「グリーン購入法」の定めや精神に基づいたグリーン購買に取り組み、ECOマーク商品を優先購入しています。
今後も引き続きECOマーク商品を積極的に推進していきます。