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写真:代表取締役社長 山本悟写真:代表取締役社長 山本悟

「Our Philosophy」で心を一つに
すべてのステークホルダーに
「最高の安心とヨロコビ」を

住友ゴム工業株式会社
代表取締役社長
代表取締役社長 山本悟

プロフィール : 
山本 悟(やまもと さとる)

1982年4月
当社入社
2001年1月
同タイヤ営業本部販売部長
2010年3月
同執行役員
同ダンロップタイヤ営業本部副本部長
2011年3月
同ダンロップタイヤ営業本部長
2013年3月
同常務執行役員
2015年3月
同取締役(常務執行役員)
2019年3月
同代表取締役社長(社長) 現在に至る

予期せぬ変化が頻発するからこそ重要な存在意義

予期せぬ変化が突然起こり、思いもよらぬ影響が事業に及ぶ——私たちは今、グローバルかつ多様なリスクが顕在化するビジネス環境の中にあります。
このような環境変化やリスクに迅速に対応していくには、社員一人ひとりが自律的に意思決定し、従来以上に柔軟かつスピード感を持って対処していくことが欠かせません。世界中の住友ゴムグループで働く約4万人の多様な社員が、一つのチームとして同じ方向に向かっていくには、求心力である企業の存在意義「Purpose」の存在がますます重要になると考えています。
2020年12月に発表した企業理念体系「Our Philosophy」は、およそ2年の歳月をかけ、住友事業精神からひもとき、グローバルに共感される“ぶれない拠り所”となるようにつくり込みました。コロナ禍をきっかけに世界が目まぐるしく変わるタイミングに導入できて本当に良かったと考えています。
私がうれしかったのは、「Our Philosophy」をグループ全体に発信したその夜に、海外のナショナルメンバーから「非常に共感します。私の会社でもしっかりと広めていきます」というメールがダイレクトに来たこと。今は「Our Philosophy」を浸透させている真っ最中ですが、確実に浸透しつつあるという手応えを感じています。

コロナ禍からの経済回復を背景に、売上挽回の流れが加速

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2021年は、当社にとって経営環境が大きく変化した年となりました。コロナ禍から経済回復に向かって高機能商品の販売が伸びる一方、原材料価格や海上コンテナ運賃が高騰し、収益を圧迫しました。コロナ環境下で「いつか必ず回復する」と地道に準備を重ねてきた結果、需要の立ち上がりに追随することができ、売上挽回の流れが加速しました。
タイヤ事業では、「グローバル製造・販売・サービス体制」「グローバル需給体制」「日米欧三極開発体制」の強みを活かし、コロナ禍の回復基調に、それぞれの市場に適した高機能商品のラインアップを速やかに拡充し、グローバル体制の成果最大化につなげてきました。例えば、米国では、小売店を直接販売支援する専門チームが数年来築いてきた信頼関係も奏功し、ユーザーニーズを満たした4×4&SUV用タイヤFALKEN「WILDPEAK」シリーズが大ヒットしました。欧州では、大きな影響力を持つドイツ自動車連盟のタイヤテストで、当社高機能タイヤが2021年に総合1位、2022年にはEV時代のタイヤで重視される摩耗性能で1位と3位を獲得し、ブランド価値向上につなげています。そのEVタイヤでは、当社史上最高レベルの低電費性能を誇る当社初の市販用EVタイヤを2022年に中国市場で発売、2023年には欧州市場で投入予定です。
ここまで時間はかかりましたが、高機能商品をお客様にお届けする体制整備が実を結び始めています。私は入社以来、タイヤの商品開発、マーケティング、リプレイス販売に長く携わってきました。その経験から見て、現在の販売体制、サービス体制はしっかりと力を付けてきていると判断しています。
一方、米国工場と南アフリカ工場は、コロナ禍による生産影響や、日本から支援チームを現地に派遣できないことなどにより、懸案であった生産性と採算性の改善が想定よりも遅れている面がありますが、着実に改善が進んでいます。米国工場では、その改善計画の進捗を確認したうえで、増産投資を決定しています。米国工場に続き生産能力の増強を決定したブラジル工場は、全体の利益や生産性に貢献する工場に育っています。
スポーツ事業では、ゴルフ事業が三密を回避して楽しめるレジャーとして一気に需要が回復した波に乗り、当社契約プロ松山英樹選手のマスターズ優勝という追い風もあり、主力ブランドが好調に売上を伸ばしました。

グローバル体制強化の負の部分である非効率を正す

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写真:代表取締役社長 山本悟

以上のような業績を背景に、2020年にスタートした中期計画で目標として掲げてきた「2025年までに売上収益1兆円」は今年度にも達成できる見込みです。これは、各市場でお客様のニーズに、商品力、品質、価格、納期、アフターサービスにおいてお応えしてきた成果であり、お客様からいただいた信頼の総量であると考えています。これからもお客様の信頼をさらに向上させることで、売上の伸長を図っていきます。
課題は、この売上基調を利益に結びつけられていない点です。中期計画をスタートした際、売上収益1兆円よりも、事業利益1,000億円のハードルが高いことから、利益基盤を底上げし、コロナ禍による収益のぶれを埋めるため、経営基盤強化活動「Be the Change」プロジェクトのもと、利益基盤強化と組織体質強化に精力的に取り組みました。その結果、グローバル体制の整備・構築に注力するなかで克服できていない、さまざまな非効率が顕在化しました。
まず、高機能商品は好調な一方で、汎用商品は低インチサイズが中心で、低採算な商品も多く、生産面、原材料調達面、技術開発面の効率を下げています。サイズの整理、最適化による全体利益の底上げが急務となっています。
次に、売上の増加率に対して固定費の増加率が上回っており、一人当たりの売上高や利益額も計画から乖離しています。こうした非効率をあぶり出すため、2025年完了目標でDX(デジタルトランスフォーメーション)を急ピッチで進めています。経営の見える化による注力領域への人的資源の集中化や人員配置の効率化を実現し、固定費の削減と注力領域からのアウトプット増を図ります。
これと並行し、この2年間、「Be the Change」プロジェクトにより“利益を生む力の基盤”を徹底的に強化してきました。
そして次のステップが、事業の選択と集中です。ROIC経営を軸に据え、事業ポートフォリオ分析に基づいて「より集中して成長させる事業」「収益改善に注力する事業」などを明確化し、メリハリのある経営資源配分や事業の新設・改廃を行っていきます。
これらの取り組みを加速するため、現在、中期計画の全面的な見直し作業を鋭意進めています。「Be the Change」プロジェクトを通じたキャッシュ創出の成果を踏まえ、さらなる成長に必要なキャッシュを創出するための全社横断的プロジェクトを、中期計画の見直しに合わせてスタートさせる方針です。

社員の行動が変わり、組織体質が強化

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「Be the Change」プロジェクトの名称は、インド独立の父、マハトマ・ガンジーの言葉「You must be the change you want to see in the world./世界に変化を望むなら、自らその変化となれ」から採りました。そこには、誰かが変えてくれることを待つのではなく、社員一人ひとりが主体性を持って、住友ゴムを変えるリーダーとなってほしいという想いが込められています。
2020年に本格的にスタートした「Be the Change」プロジェクトでは、さまざまな分野で課題解決のためのタスクフォースが立ち上がり、精力的な活動を展開しています。例えば、新たな価値を創造する取り組み、キャッシュや利益を創出する取り組みでは、6,000件を超える施策アイデアが生まれました。今後数年にわたって着実に実行していきます。
これらの活動を通じて「社内にさまざまな挑戦が生まれた」「部門を越えたダイナミックな連携で成果をあげた」などの効果があり、全社的な課題に部門連携で取り組むスキルやノウハウが定着し、後戻りしない力が蓄えられてきました。「Be the Change」プロジェクトを通じて強化してきた部門横断的な活動や組織体質の成果をさらに活かしていきます。
現在、「Be the Change」プロジェクトの活動は海外拠点にも広がっており、成功事例も生まれています。成果やノウハウが共有され、切磋琢磨されつつあり、この活動を通じて本社と海外グループ会社間のコミュニケーションも活発化しています。

D&Iを推進し、すべての個人が能力を発揮できる職場を実現

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2019年2月にスタートしたダイバーシティ&インクルージョン(D&I)プロジェクトは、多様な社員一人ひとりが輝ける風土づくりを掲げ、部門横断的に社員の声を施策に反映しながら、段階的に活動を広げてきました。具体的には、高度成長期の組織運営から脱却し、多様性を尊重し合ってチームとしてイノベーションを創出する組織、心理的な安全性の高い環境で自由闊達に議論し、新たなアイデアを生み出す職場を目指します。
D&I活動の促進のため、役員全員と管理職を対象としたアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の研修を実施しました。私自身もアンコンシャスバイアスの講師の方との対談で多くの気付きを得たため、対談内容を社内に発信し、社員と共有しています。実際、「このような判断はアンコンシャスバイアスではないか」と一呼吸置くケースが出ています。
D&Iの具体的な取り組みでは重点施策に女性活躍を掲げ、女性中心のチームが育児に関わる両立支援マニュアルの整備、産休・育休によるキャリアの分断をフォローする仕組みづくり、そして2021年はメンター制度の創設に取り組みました。このように段階的に拡充する一方、女性社員の現状を把握するため、2021年に女性全員へのアンケートを実施し、モニタリングしていく取り組みをスタートさせました。
LGBT(性的マイノリティ)についても2021年、全役員と管理職を対象に研修を実施、社外相談窓口を設置するなど取り組みを進めた結果、任意団体「work with Pride」が評価するLGBTなどに関する企業の取り組み指標「PRIDE指標2021」において「シルバー認定」を取得しています。2022年には、同性パートナーの登録規定を新設し、一部の制度から適用を開始しました。
2022年にはさらに取り組みを加速するため、人事部内にD&Iグループを新たに設置、育児・介護休業法改正への対応も含め、男性育児参画をキーワードに取り組みを拡充していきます。

2050年を見越したサステナビリティ長期方針を策定

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2021年8月、「Our Philosophy」を体現し、社会と当社が持続的に成長していくには、2050年を見越した長期的視点での方針が必要との観点から、サステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」を策定しました。
当社は創業以来、「自動車タイヤ国産第一号」や日本初の「ラジアルタイヤ」、世界初の「100%石油外天然資源タイヤ」など、さまざまな世界初・日本初の商品を世に送り出してきました。
この「100%石油外天然資源タイヤ」の開発で培った、バイオマスを中心とした石油に依存しないタイヤづくりを進化させ、リサイクル原材料比率も高めていきながら、2030年にはサステナブル原材料比率を40%、2050年には100%とし、カーボンニュートラル実現に貢献します。スポーツ事業、産業品他事業も同様に、2050年サステナブル原材料比率100%を目指していきます。
安全で環境にやさしいサステナブルなタイヤ開発では、2029年までに「スマートタイヤコンセプト」のすべての技術(安全性能を高めるセーフティー・テクノロジーと環境性能を高めるエナセーブ・テクノロジー)を完成させ、2030年に発売するすべての新商品に「スマートタイヤコンセプト」のいずれかの技術を搭載する計画です。
「はずむ未来チャレンジ2050」の環境への取り組みでは、カーボンニュートラル(スコープ1、2)達成に向け、2021年8月、白河工場の一部工程に水素を導入する実証実験を開始しました。太陽光発電と水素を活用し、2023年には高性能タイヤの製造ライン「NEO-T01」の全工程をクリーンエネルギー化し、製造時における「CO2排出ゼロタイヤ」を実現します。その後、水素の利用を白河工場の全工程に導入し、順次、国内・海外工場に拡大していくことを検討しています。
社会、ガバナンスでは、全社のチャレンジングな取り組みを支える基盤強化のため、健康と安全、組織風土・文化醸成、多様性の尊重と調和、人権の尊重、サプライチェーンマネジメント、コーポレート・ガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底に重点的に取り組んでいきます。

「Our Philosophy」でベクトルを合わせ、目指す姿実現の加速力を

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写真:代表取締役社長 山本悟

当社は、400年の歴史がある住友グループの「住友事業精神」を意思決定の拠り所とし、これまでさまざまな事業活動を展開する中でこの精神を受け継いできました。1963年に定めた最初の企業理念にも住友事業精神が織り込まれており、その後、時代や当社の変化点に合わせて内容を見直してきましたが、「企業の社会的責任を果たす」「グループ全社員の幸せを追求する」「お客様の期待に応える」といった、基本理念は変わりません。今回の「Our Philosophy」では、住友ゴムの存在意義・Purposeを「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」と定め、その世界観をコーポレートスローガン「ゴムの先へ。はずむ未来へ。」でシンプルに表現しました。これらが社員共通の判断基準や行動基準の拠り所となることで、世界中で働く社員一人ひとりがぶれることなく意思決定をし、私たちが目指す方向へと進んでいくと確信しています。
ゴム素材の弾力性をモチーフに「住友ゴムの製品やサービスに関わるすべての人にはずむ心、はずむ笑顔をお届けしたい」との思いは、例えば、タイヤ開発および周辺サービス展開のコンセプト「スマートタイヤコンセプト」をさらに進化させることで、CASEやMaaSなど自動車業界の一大変革に向けた、デジタル技術を活用したソリューションサービスとして結実しつつあります。新しいモビリティ社会がタイヤに求める価値を実現し、貢献していくと期待しています。
ソリューションサービスの中核をなす当社独自のセンシング技術「センシングコア」は、ハードセンサーを一切使わずに、路面の状態や空気圧・摩耗・荷重・車輪脱落予兆検知を行う技術です。このようにタイヤそのものをセンサーとして利用するため、タイヤに新たなセンサーを追加する必要がなく、メンテナンスフリーであることが大きな特徴です。さらに検知した情報をクラウドにアップすることで、自動運転車の安全運行だけでなく、メンテナンスコストの削減などにも寄与するという新たな価値を創出していきます。
新たなモビリティ社会への橋渡しとなるEVについても、当社最高レベルの低電費性能を誇る当社初の市販用EVタイヤをEV化が急速に進む中国市場に投入、続いて欧州市場にも販路を広げる予定です。このタイヤには、当社が世界で先行し累計14百万本という販売実績を誇る特殊吸音スポンジ「サイレントコア」を搭載しており、EVに求められる優れた静粛性を実現し、移動空間の快適さ向上に貢献していきます。
こうしたなか、2021年7月、当社およびグループ会社において品質管理に係る不適切な事案が判明し、お客様にご迷惑をかける事態となったことは非常に残念で、深く反省しております。南アフリカ工場において問題が発生し総点検したところ、社員の勇気ある行動で防舷材の案件が明らかとなり、不適切な状態を正すことができました。社長直轄の品質保証本部を再構築し、後戻りしない対策に万全を期します。
これを二度と起こさない対策の柱は、私を含む役員が自ら率先して「Our Philosophy」を全社に浸透させ、全社員が「Our Philosophy」を日々の業務の考え方や判断の拠り所とし、全社員のベクトルを合わせていくことだと考えています。日々、「最高の安心とヨロコビ」を提供できているか、「信用と確実を旨としよう」を実践できているかを自分自身そして仲間に問いかけ、言葉にしていくことが組織の意思となって当社を一つの方向に向かわせると確信しています。

すべてのステークホルダーに「最高の安心とヨロコビ」を

今、私たちに求められているのは、住友ゴムグループに働く一人ひとりが地球環境、人、社会、そして未来を支える「最高の安心とヨロコビ」をつくり出し、世界に提供していくことだと考えています。
中期計画が目指す経済的価値向上と社会的価値向上には、「日々イノベーションを起こし、挑戦し続ける」「お客様と社会からの信頼に応え、その期待を超える価値を生み出す」が欠かせません。このPurposeの体現には、事業変革によって顧客満足と従業員満足を実現し、お客様をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様に共感していただくことが最も重要で、ここに焦点を当てて取り組みを進めていきます。今行っている中期計画の見直しに合わせて、当社事業のありたい姿の再定義を行う予定です。
これからもダイバーシティを推進して多様な人材が輝ける企業風土を醸成し、DXの活用などにより業務効率化を図り、さらなるイノベーションを創出することで全従業員の幸せを追求しながら、すべてのステークホルダーの皆様の「最高の安心とヨロコビ」に貢献できるよう、今後も企業価値向上に努めていきます。