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住友ゴム、大阪大学大学院医学系研究科とがんの新たな 治療法開発に向けた共同研究 ~がん細胞だけを吸着する独自の特殊ポリマーでがんの根治目指す~

 住友ゴム工業(株)は、大阪大学大学院医学系研究科の山本浩文教授らの研究グループと、がんの新たな治療法の開発を目指す共同研究を推進します。当社が開発した特定のがん細胞を血中から吸着する特殊ポリマーを採用した「がん細胞吸着キット」を活用することによりがん細胞を活性化するメカニズムを明らかにします。この研究により、がんの症例に合わせたより適切な治療方法の選択が可能になるとともに、がん新薬の開発や将来的にはがん根治に向けた研究を加速させてまいります。



  

 

  世界的にがん患者数とその死亡者数は増加※2しており、がんの新たな治療技術の確立は大きな社会課題となっています。こうした環境の中で当社は新たながん治療技術の開発に貢献すべく、独自の高分子ポリマー技術を応用する事で、血液から特定のがん細胞やタンパク質のみを吸着させる特殊ポリマーに関する研究を各専門機関と共同で進めてまいりました。
  そして現在、山本浩文教授らの研究グループと当社が開発した「がん細胞吸着キット」を活用し、がん細胞を活性化するメカニズムを明らかにする共同研究を進めています。この研究にはがん細胞の活動を規定する分子相関係数と人工知能を駆使した最新の解析モデルを導入しています。


「がん細胞吸着キット」のイメージ




  がんに罹患すると血液中に血中循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell) ※3が発生します。現在はこの特定のがん細胞を分析する事で治療方法の選択等の研究が行われています。ただ、がん細胞は血中にごく僅かしか存在しないため、従来の血液を遠心分離する方法では原因となる特定のがん細胞と血液細胞を完全に分離することが難しく、より精度の高い治療方法の選択に限界がありました。
  今回、当社が開発したがん細胞吸着キットに使用する独自の特殊ポリマーは、中間水※4の働きで特殊ポリマーの硬さを制御することで特定のがん細胞のみを吸着させる事が可能です。また取り出したがん細胞を長期培養させることも可能となりつつあり、より多くのがん細胞を回収できます。対象疾患もこれまでの大腸がん、肝細胞がん、膵がんから前立腺がんや乳がんにも拡大していきます。CTCの研究を通じて、がん細胞の増殖や転移を促進する細胞内のメカニズムであるがん活性化シグナルを明らかにし、より多くの患者様に、そのシグナルを阻害する分子標的治療薬※5の投与に結びつけます。さらに、培養したがん細胞を利用する事で新薬開発の可能性が広がり、山本浩文教授らの研究グループが進める将来的にがん根治を目指す「ムーンショット計画」※6の共同研究を加速させてまいります。

  当社は企業理念体系である「Our Philosophy」で定めた「Purpose」である「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」を実践し、先進的ながん治療方法に関する研究を推進することでがんを根治できる未来に向けたさらなる医療技術の発展に貢献してまいります。
 



【大阪大学大学院医学系研究科の「ムーンショット計画」のイメージ】 


※1  同じ種類の小さい分子(モノマー)が互いに多数結合し、それに相当する構造単位のくり返しによって構成された分子、またはそれから成る物質。
※2  出典:American Cancer Society HP 
※3  がん細胞が原発巣(がんが最初に発生した場所)から血流に入り、循環している細胞。がんの進行状況などの評価や再発リスクの評価に有効。
※4  中間水 (ちゅうかんすい) は、実験的に存在が示唆されている水の状態の一つ。通常の水 に加え、0℃より低い温度で凍る水。-100℃でも凍らない水は不凍水(ふとうすい)という。
※5  がん細胞の特定の分子や遺伝子変異を標的にしてがんの成長や進行を抑制する薬剤。
※6  超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な7つの目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進する制度として「ムーンショット型研究開発事業」が実施されている。山本浩文教授は科学研究費 基盤A課題(2024-2026)多分子標的型核酸と高性能化 DDSによって転移性癌をリセットすることでがん根治を目指す計画を進めている。