天然ゴム合成酵素と同類「トマト由来酵素」の構造を解明~東北大学、金沢大学、理化学研究所と協業~
2022年03月03日
なお、本研究成果は、2022年2月8日付で生命科学分野の国際誌である「The FEBS Journal」に掲載されています。
トマト由来酵素「NDPS1」のリボンモデル。2つの同じ酵素(うす水色とピンク)が会合してホモ二量体を形成 |
NDPS1変異体の構造モデルと特性の比較 |
「NDPS1」は、Cis型プレニルトランスフェラーゼファミリーに属する酵素であり、このファミリーには天然ゴム合成酵素も含まれており、構造が類似していると推察されます。「NDPS1」はパラゴムノキの天然ゴム合成酵素よりも構造解析に適した性質を有することから、本研究グループは「SPring-8」を活用して研究を進めてきました。このたび、「NDPS1」の構造を解明し、生成物の長さに関わる重要部位を明らかにするとともに、この重要部位に変異導入を行うことで、生成物の高分子化と大幅な反応性の増強に成功しました。この結果、自然界には存在しない化合物の生合成も可能となります。
今回の構造解明により、天然ゴム生合成機構のさらなる解明と、それによる天然ゴムの安定供給に関わる技術開発の進展が期待されます。
<「The FEBS Journal」公開URL>
https://doi.org/10.1111/febs.16392
※1 植物由来の有用な物質の前駆体となるイソプレン骨格の化合物や天然ゴムの生合成に関わる酵素
※2 世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設(兵庫県佐用郡佐用町)
<ご参考>